2011年9月1日木曜日

オーバーヒートinスーパー原信

朝から快晴に恵まれた8月の末日。午前中の片づけやら何やらがひと段落したところで、妻と3女(5ヶ月)と一緒にサンバーちゃん(我家の車の愛称)で出かけることになりました。今日の運転は妻。助手席はチャイルドシートに乗せられた3女、僕は後部座席に座ることに。

まず到着したのは、チビ(茶トラ猫10歳)の餌を購入するために糸魚川市唯一の動物病院、「大竹獣医院」。チビは昔、尿管結石を患って以来、市販のカリカリ(固形の猫の餌のこと。カリカリと音を立てながら食べる)は禁止され、病院食生活なのです。

次に市役所。長女と次女のこども医療受診券を配布してもらいに。次に148号線沿いのホームセンター「ひらせい」。先日子供たちがお祭りの金魚すくいですくってきた、金魚のエアポンプと水草を買いにきたのですが、あいにく水草は売り切れ。仕方ないのでそれは後日、家の裏の池まで僕が採りに行くことになりました。

さて、この辺りでそろそろお昼時となったのでどこかで外食をしようということになりました。糸魚川市内は必然的に(?)食べるところも限られていることから、あまり外食先を決定する際にあれこれと迷うことはありません。そして今日は妻も僕もラーメンが食べたいということで押上の「みそ膳」に向かうことになりました。

市役所から糸魚川総合病院方面に向かって道(なんという名前の道なのか知らないのです)を走っている途中、ちょうど移転のために閉店中の「スーパー原信(信用金庫ではなくスーパーマーケットです)」の交差点に差し掛かった頃、「プシューゥゥゥ・・・」というという妙な音が運転席の下辺りから聞こえてきました。僕は、
「なんか変な音しなかった?」
と運転中の妻に尋ねました。信号が黄色から赤に変わったので妻が車を停車させるとメーターパネル内の水温計が10時くらいの位置まで跳ね上がっています。
「やばいっ!オーバーヒートしかけてる。サンバーちゃん原信に止めてっ!!」
と僕が言うと妻は、
「え、どうすればいいの!?真っ直ぐ?左?どっちに行けばいいの?」
と混乱している様子。
「大丈夫、ゆっくりゆっくり左折して原信の駐車場に入れて!」

信号が青に変わりました。妻はギアをニュートラルから1速に入れ、そっとアクセルを踏み込み、注意深く左折して、スーパー原信の駐車場に車を入れました。時刻は正午近くなので日陰になるところは見当たりません。とりあえず邪魔にならなそうなところに止め、車から降りてみると、バンパーの下から駐車場の入り口に向かって、刑事ドラマで怪我をした犯人が逃走するときに点々と残していった血痕のような跡が。。。恐るおそる車体の下を覗くとラジエターの背後から、これまたグレート・ムタの毒霧攻撃のように冷却水(赤いLLC液)が噴出していました。どうやら、これはどう足掻いても僕の手には負えなさそうです。

行きつけの(?)自動車整備工場に連絡をし、おおよその症状と今いる場所を伝えると、整備工場の社長は今すぐにこちらに向かい、そのまま工場まで運びましょうと言ってくれました。ひとまずはこの最悪の状態から脱することはできそうだ、と妻も僕も少し安心しました。

安心するとお腹が空いてきました。そういえば昼食がまだでした。はっ!そうだ、僕らはラーメンを食べるために「みそ膳」に向かっていたのだ。それなのに何が嬉しくてこんな炎天下でレッカー用のトラックを待たなければならないのだ。そんなことを考えると胃袋がグネグネと形を変えてラーメンの丼を飲み込むほどの大きさに膨張しようとするのが判りました。

整備工場の社長は15分ほどでスーパー原信の駐車場に到着しました。ただし社長が乗ってきたのは車をレッカー移動するためのトラックではなく、ダイハツの軽バンでした。僕は社長に、急いで来てくれて本当に助かりましたと礼を言い、それからひと通り状況を説明し、もう一度礼を言いました。それから、
「ところでトラックは後で来るのですか?」
と尋ねました。社長はニコニコしながら、
「これで引っ張りますから。」
と自分の乗ってきた車を指しました。僕は少し頭の中を整理し直し、それから尋ねました。
「僕、牽引されるの初めてなんですけど。」
と言うと、やはり社長はニコニコしながらブレーキとハンドルだけを操作するようにと説明してくれました。社長はさっさと二台の車をロープで繋ぎ、妻と3女を自分の車に乗せて言いました。
「じゃあ行きましょう。」
そうして僕たちはようやくスーパー原信の駐車場から脱出することができました。

工場までの牽引されての道のりはとても神経をすり減らすものでした。なぜなら車はエンジンを切った状態ですとブレーキの効きが悪くなります。つまり止まりにくくなるのです。さらに牽引ロープの長さはせいぜい3メートルほどです。つまりよっぽど前車のブレーキに神経を集中しなければ、すぐにぶつかってしまいそうなのです。正直、これほど車の運転で緊張したのは自動車教習所の路上実習以来でした。

そうして僕たちはサンバーちゃんを工場に預け、社長の用意してくれた代車で無事帰ってきました。途中立ち寄ったスーパーマーケット「早川ハピー」で妻が買ってきた昼ごはんは、惣菜のコロッケが4つとカップラーメンが2つでした。やはり妻の胃袋も沸々とラーメンを欲していたのだ、とテーブルの上のラーメンを見て僕は思いました。